マンション管理士試験の試験科目になっている「民法」は、ちょっと特殊な勉強が必要になります。
すでに宅建士試験や管理業務主任者試験に合格しているという受験生だったとしても、対策を間違えるとマンション管理士試験の民法で点数を稼ぐことができません。
今回は、マンション管理士試験の民法が特殊な理由と、民法の勉強方法について解説していきます。
民法の出題数と難易度
マンション管理士試験の民法は例年6問出題されています。
民法と関係の深い特別法である借地借家法もこの中に含まれることがあります。
50問中の6問ですので、そこまでのウェイトを占めているわけではありません。
それでも、合格点が高く1点の差が大きくなりがちなマンション管理士試験で民法を捨て科目とするのはリスクが高すぎます。
むしろ、民法の出来が合否にも影響するくらい、重要な科目になっています。
次に民法の難易度ですが、これは宅建士試験や管理業務主任者試験と同じくらいのレベルと考えてもらっていいです。
行政書士試験のような法律系の資格試験の民法と比べると基本的な部分からの出題になっています。
ただ、点数の取りやすさという観点での難易度だとすると、マンション管理士試験の民法は難しめになるかもしれません。
これは民法の出題のクセによるところが影響しています。
ちょっと特殊な民法の問題
過去問を見てもらえるとわかるのですが、マンション管理士試験の民法の問題には「マンションが絡む設定」が組み込まれています。
実際に令和4年度の民法の問題を見てみましょう。
【R4-問14】
Aが所有する甲マンションの201号室を賃料月額20万円としてBに賃貸し、令和4年8月分の賃料をCがAに対して弁済しようとする場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
これは他の資格試験の民法ではあまり見られないスタイルです。
マンション管理士ならではの設定なのでしょう。
マンションの絡む設定が「前提」となっているため、まずその前提をしっかりと把握するところから始めなければなりません。
ここでの把握をミスしてしまうと選択肢の内容が意味不明なものになってしまい、失点につながってしまいます。
その選択肢ですが、マンション管理士試験の民法ではここでさらに設定が付け加えられることになります。
先ほどの問題の選択肢を見てみましょう。
【R4-問14 肢3】
AB間の賃貸借契約において、B以外の第三者の賃料支払を禁止又は制限していなかった場合、Cが弁済をするについて正当な利益を有していても、Cの弁済がBの意思に反していることをAが知っていたときは、AはCの弁済を拒絶することができる。
前提をもとに、さらに細かい設定(条件)が選択肢で付け加えられていることがわかると思います。
これが選択肢ごとにあるわけですので、当然、問題文自体が長くなります。
実際の論点自体はそれほど難しいものではないのですが、事例形式で、しかも問題文と選択肢でそれぞれ条件がついているものを解いていくのはなかなか大変です。
ここにマンション管理士試験の民法の難しさがあるのです。
(ちなみに先ほどの肢3の答えは『誤』で、問14の正解肢となっています。)
民法の勉強方法
出題の仕方が独特ではあるものの、基本論点からの出題がメインになるので、テキストをしっかり学習することが大切になります。
その上で、「理解」する学習を心がけて欲しいのです。
民法の規定そのものを覚えていたとしても、それを使いこなせるレベルまで持っていかないと、マンション管理士試験の民法が解けるようにはなりません。
使いこなせるようにするためには「理解」が不可欠になります。
先ほどの試験問題は、テキストでいうところの「第三者(による)弁済」の部分です。
おそらく、テキストには重要な部分だけさらっと書いてあるくらいだと思われます。
テキストあるいは条文に書かれている、「正当な利益を有するものでない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない」ということだけを丸暗記したとしても、先ほどの問題は答えられません。
なぜこのような規定があるのか、これにあてはまらないケースがあるとすればどういったものが考えられるか、などを意識しながら学習をしていく必要があります。
最初のうちは難しいかもしれませんが、具体的な事例を自分で考えることができるようになれば理解もグッと深まるのでおすすめです。
また、早いうちから過去問に触れて、慣れていくことも重要です。
問題の冒頭にある前提部分でキーワードになる部分を見つける練習、選択肢の事例設定で重要な論点を見極める練習・・・
これらは実際に過去問を解かないとできません。
最初のうちは時間がかかってもいいですし、間違えてもいいので、まずは民法の出題形式に慣れることを優先しましょう。
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