今回は行政書士試験に特有の「40字記述」(以下、記述式とします)という形式の問題について、どのようなものなのか、対策はどのようにすればいいのかを解説します。
今年の記述式についても触れますので、最後まで読んでみてください。
⒈ 記述式とはどのような試験なのか
行政書士試験を受けようと考えた時に、おそらく多くの受験生が疑問・不安に思うのが「記述式」ではないでしょうか。
私自身もどのように対策するべきなのか迷いながら受験をしていた記憶があります。
まず、「記述式」について簡単に説明しておきます。
これは、設問の解答を40字程度で記述するというもので、論述というよりはキーワードのあてはめ試験だと考えるとわかりやすいかもしれません。
つまり、出題者が答えてほしいキーワードをしっかりと40字の文章の中に入れられるか、を見るわけです。
1問20点で3問出題され、記述式を合計すると60点になります。
行政書士試験の総得点が300点なので、5分の1(20%)のウェイトがあることになります。
そして、この記述式は択一式や多肢選択式と同じ時間に行います。
つまり、行政書士試験は1度にすべての形式の問題を解かせるのです。
次に、記述式の教科です。
近年は、1問目が行政法、2,3問目は民法となっています。
行政法は事例形式の問題、民法では事例形式や条文そのものを使った問題が多い印象です。
⒉ どのように対策するか
合計で60点分もありますし、人の手で採点がされるということでブラックボックス感もあったりします。
大半の受験生は記述式の出来で合否が決まることになるため、正式な合格発表日まで不安な気持ちを抱えながら待つことになります。
ただ、過度に恐れることもありません。
問われる内容はほとんど基本的な事項で、択一式のインプットの際にしっかりと内容を理解していれば十分解けるレベルです。
重要な条文や判例が出てきたときに、「これは記述式で問われてもおかしくない内容だな・・・」などと常に記述式の事も意識してインプットをすると効率がいいかもしれません。
民法に関しては、択一式が9問で36点満点、記述式が2問で40点満点であることを意識して取り組むことをおススメします。
近年の択一式の民法では、難易度の高い問題が出題されています。
つまり、比較的得点しやすい記述式でどれだけ得点を稼げるかがポイントになってくるのです。
細かな知識の習得に専念するあまり基礎的な知識が抜けて記述で稼げない・・・などということにならないように注意しましょう。
⒊ 今年の記述式についての感想
例年の記述式は、問題に対しての模範解答が1つバシッと決まっていて、それに対してのキーワードで得点を積み上げていくというものでした。
それに対し、今年の記述式はちょっと違う傾向が見られました。
今年の記述式の特徴は解答が複数存在する可能性がでてきました。
問題文からはどうしても解答を1つに絞ることができない問題がありましたし、あまりにも細かすぎる論点を持ち出している問題もありました。
択一式でこのような複数解答があった場合には「没問」として処理されてきましたが、記述式では点数の関係上、没問にすることは考えられません。
また、記述式の問題製作者が疑義を生じさせるような問題を作ることも考えにくいです。
大学教授が作っているわけですので、そのあたりのチェックはしっかりしてあるはずです。
そうなると、解答が複数存在していると考える方が自然です。
法学部の試験では判例の結論に従えなどの指定がない限りは、学説で争いのある部分では、どのような説で論文を書いても点数がもらえるようになっています。
要は、筋が通っていればオッケーなのです。
40字という制限のある中で、異なる立場からのアプローチを認めるように、あえてフワッとした問い方をしてきたのかもしれません。
もし、複数の解答を前提とした問題だとするならば、今後の記述式対策も変わってくるかもしれません。
この辺りは、正式な模範解答を見て決まってくることになると思われます。
これはあくまでも私の感想で、複数解答があること前提で問題が作られた可能性も否定できないというくらいのものです。
正式には答えが1つという可能性もありますし、没問の可能性もあります。
試験センターの考え方1つですので、このあたりは誤解のないようにお願いします。